【経営者は孤独】への向き合い方

皆さん、ごきげんよう。「大久保元永経営観」というシリーズで重ねていくコラムです。経営コンサルタントとして20年、多くの経営者が感じる「経営者の孤独」について綴ってみました。

経営者が孤独を感じている現状

経営者は常に孤独との闘いではないだろうか。これはいつの世の経営者やリーダーにも普遍的な宿命とも言えるように思える。まして今日、デジタル技術の普及が驚くべき速さで進み、そのまま市場や社会に浸透しています。そしてデジタル技術がまた新たな技術を生み出すという乗数的なサイクルで進化を遂げる現代において、これまでとは比べようのない闘いであることは容易に想像できる。経営課題や問題を常に俯瞰的に見ていなければ、あっという間に競争社会に取り残されてしまう現代社会。その感覚は危機感や恐怖感とも言い換えることができるのではないだろうか。

また経営課題や問題に絶対の解が存在しないことは周知の事実である。この絶対の解がない世界において、経営者は、常に判断や決断をし、結果を出し続けていくことが求められる立場です。つまり、経営者は己との闘いを強いられ、逃げ場所は僅かなのだろうと思う。

己との闘いほど辛く苦しいことはないのではないだろうか。

いくら精神力が強いと言っても人間である以上、弱みも含んでこその人間である。なによりもデジタル技術が人間よりも優れているのはその部分ではないだろうか。疲れを知ることがないのもそのためである。

では、経営者やリーダーは宿命的な孤独から本当に逃れる道はないのだろうか。

これもまた先述した絶対はないのであるから、逃れられないとは言い切れないはずである。では、その逃げ場所とはどこにあるのか。どうすれば逃げ場所に辿り着けるのか。経営者やリーダーが孤独と対峙することは半ば宿命的なことであるということは上述のとおりである。そうであれば何が逃げ場所になるのか、それは己との闘い方に一筋の光を見出すことができる。

それでは詳しく見ていきたいと思う。

なぜ経営者が孤独を感じるのか

端的に言うと、経営者が孤独を感じる理由は、相談相手がいないからに尽きる。経営者やリーダーは『あるべき姿を俯瞰的かつ客観的に捉え、判断や決断を重ねながら将来を構想し結果を創出すること』を求められる立場であることは上述したとおりである。

では、同じ意気込みや観点でディスカッションできる人間が近くに存在しているだろうか。

ほとんどの経営者やリーダーの近くには存在していないというのが現実があり、つまり、孤独なのである。だからこそ、この孤独を乗り越えるためには己自身との闘いにならざるを得ず、そう捉えざるを得ないのである。

しかし、その環境や心境をまったく理解できない社会でもない。経営者やリーダーの弱さや辛さを正確に聞き、次の一歩を踏み出すために正確なアドバイスなどをすることをフィールドに活躍する者もいる。そして、経営者の逃げ場所は、唯一、この専門家のアドバイスなどを受けることである。

経営者やリーダーが孤独を感じることから逃れ切ることはできないし、己との闘いに勝ち、次の一歩へとの歩みを進めるためには、この逃げ場所、休息場所の活用が非常に重要であり、この存在なくして成長なしと言っても過言ではないのである。

孤独を感じるのは経営者やリーダーの宿命と受け止め、良き理解者の存在を近くに得ることは、その後の経営者やリーダー自身の成長にも、事業の展開にも大きな違いをもたらすことになる。誤解を恐れずに述べると、経営者やリーダーの孤独は自身の成長や事業の発展に欠かせない重要な役割である側面をもっているのも事実である。

孤独を経営に活かす方法|己との闘いが一筋の光

経営者やリーダーの孤独が普遍的かつ宿命的であるとするならば、そしてそれが己との対峙というのであれば、その孤独は市場や社会の競争に溶け込み、勝ち残っていくための必要な環境や要素であると言い換えることができるのではないだろうか。つまり必要悪のような概念として捉えることはできないだろうか。

それを経営者やリーダーの誰しもに与えられた試練と置き換えても良いと思う。つまり,全ての経営者やリーダーは孤独であるし己との闘いからも逃れられない。逃れようと考える経営者やリーダーは、厳しい言い方をすれば『その素質がない』と言えよう。

むしろ、孤独に打ち克つ強い精神力を見方につける、養う、それくらいの意気込みがないと経営者やリーダーになってはいけないのである。勘違いしてもらいたくないのは、弱音がこぼすなと言っているわけではない、その弱音は後述する者とじっくり語り合えばよい。要は、経営者やリーダーには孤独と正対する心構えと肚を据える心持ちが必要である。その反骨精神ともいえる強い想いで事業や企業を引っ張っていくという信念がやる気の原動力であり、折れない心の源泉であると言える。

経営の真の成功を手に入れるには、多くは逆行のなかで、もがき苦しみを自身の原動力に変え、自身にも社会・市場に打ち克つことではないだろうか。

そうして掴んだ成功の背中を見せてこそ、経営者やリーダーという資格や賞賛が初めて得られる。辛苦の末に掴むひと時の勝利を心から味わえてこそ、孤独と向き合う奥深さに酔えるのではないだろうか。誰しもが味わうことのない孤独との向き合い方、付き合い方であり、何よりの褒美でもあろう。

次段では「弱音のこぼし先」について述べてみたいと思う。

経営者コーチングを活かすための注意点

前述では己との闘いからは逃れられず、ゆえに孤独であるという経営者やリーダーの宿命的な事柄について述べたが、以降は辛苦に堪えがたい際の逃げ場所、心の休め処・置き所について述べる。前述のとおり、経営者やリーダーは簡単に折れてしまう心の持ち主であってはその素質を疑われかねないし、現実社会や市場では通用しないものである。しかし、機械ではない。疲れも知れば辛さも知る。時には生死をかけての決断もあろう。そのときも孤独で己と闘いながらしか決断材料を出すしかないのか。それではあまりに非情であると言わざるを得ない。ではどうできるのか。答えはそれほど難しくはない。その心境と正対し前に進もうとするのであれば、よき理解者の力を得てするのが最良である。では、そのよき理解者とは誰か。その存在はコンサルタントやコーチングとして活躍している専門家(経営コンサルタント)である。

経営コンサルタントは物事や事象を常に客観的に俯瞰し、その経験や知識・智慧から適切なアドバイスを行うことを旨として活躍している。つまり、経営者やリーダーが判断や決断に躓いた時、あるいはその判断や決断にあぐねた時、経営者やリーダーの置かれている環境や状況、求めるべき判断や決断について、よき理解者として充分な相談相手として応じてくれる。

ここで経営コンサルタントを活用する上での注意点をお伝えしたい。多くの経営者やリーダーが誤った認識をしていることがある。

コンサルタントやコーチには、解を求めてはならないのである。

あくまでも判断や決断をするのは経営者やリーダーであって、コンサルタントやコーチではない。答えを求めた時点で、己との闘いを投げ出し、孤独からも逃げようとしているのである。コンサルタントやコーチは自身の理解者であって分身ではない。ここを捉え違えてしまうと、最悪な結果を招くことになります。大事なことは、一時的な逃げ場所として、また心の休息処・置き所としての存在であり、専門家は経営者の代わりではないのである。この事を充分に理解したうえでコンサルタントやコーチと付き合うことは、経営者やリーダーの大きな味方となり、力になる。上手く使いこなして孤独や自身との闘いとの精神面でのバランスをとってもらいたい

経営者様へのメッセージ

今回は、経営者の孤独というテーマで考察し、綴ってみました。もちろん、ここで述べたことだけが正解ではないし、すべての経営者やリーダーに当てはまるとも考えていません。ただ、いろんな意味で難しい経営の舵取りを求められる時代が到来し、休む間もなく進化を遂げる経済・市場・社会などにあって、その舵取りの少しでも参考になればと思い、考え着くなかで拙い筆者の経験や知識をもとに綴りました。

筆者としては、起業や承継による第二創業など、たくさんの方々に自ら事業に取り組む機会をもって頂きたいと考えています。なぜなら、その挑戦は人生という最高の贈り物を最大限に活かす機会を得られると考えるからに他なりません。

今回、綴ったように決して楽な道ではありません。いばらの道にいばらを敷くが如く険しい道のりです。それでも筆者がこの道を進めるのは、この国、日本が日本の底力を見せつける今が絶好の機会であると信じて止まないからです。

一たび世界に目を向けたとき、日本は失われた20年、30年という汚点を目にせずにはいれません。もっともっと日本には潜在的な産業力、成長力があることを世界に示さなければと、この国の未来を憂いてなりません。国内総生産の伸長率が著しくないままでは世界の列強、大国と対峙できないのです。我々の時間に休む間がないのと同じで、世界規模でも時間に休む間はありません。24時間365日、世界中であらゆる社会・経済・金融などが目まぐるしく動き、次の一手を模索し、グローバル化、デジタル化、AI、放置すれば脅威でしかない社会システム、経済システムが出来上がり、やがてそれがデファクトスタンダードになる日がやってきます。現にやってきました。戦後一世紀も経ずにです。そうして日本の外部環境である世界各国は進歩を遂げ続けています。日本もそれらの動きに劣ることなく、果敢に立ち向かい、強い社会システム、経済システム、金融システムなどを発表し、打ち出すべきです。社会や経済は行政だけでは変えれません。政治家だけでは変革できません。多くの中規模企業・小規模企業の力の集結が世論を動かすことで政治も変わり、政治家も変わる可能性を秘めています。ここを踏ん張り、日本を飛躍に転じさせるのは政治家ではなく、小規模企業・中規模企業、中小企業の皆さんと創業・起業を志す皆さんの他にはいないのです。

ぜひその自覚をもって臨んでいただければと切に祈ってやみません。ここまで述べるからには大久保事務所、大久保元永としても逃げません。望まれれば何とか皆さんのお役に立てるよう努力に努力を重ねます。今後ともよろしくお願いいたします。

長文の最後までのご一読、誠にありがとうございました。