リスケという言葉の意味はご存知でしょうか?リスケはリスケジュール(rescchedule)の略語で、スケジュール変更です。「約束した日程を変更する」、「スケジュールを変更・組み直しをする」といった場合に使うことが多いかもしれません。
今回は、経営上での「リスケ」のお話です。銀行などの金融機関等(借入等)に対して使用する場合の「リスケ」とは「借入返済条件を変更、見直し」のことです。
リスケは借入返済条件の変更や見直しですから、申し入れる相手は金融機関等になります。民間金融機関、公的金融機関など、今日ではたいていは受け入れてくれる環境や法整備が整っています。ただし口頭での申し入れだけで受け入れてもらえる場合もあれば、計画書(改善計画書など)の作成を求められる場合もあります。個人的には何らかの計画書を求められることが多いと思います。
リスケを極力スムーズにおこなうために、ポイントとなるリスケのタイミングをお話します。リスケのタイミングを知り、万が一、借入金の返済が難しい状況でも、動じないよう備えておきましょう。
リスケを申し入れるタイミングはいつ?
リスケをするタイミングは慎重に考え悩んでもらいたいところです。なぜなら事業再生・経営改善をはかる上でもリスケのタイミングは重要なのですが、経営相談など含め、このタイミングを誤っている経営者さま(事業主・フリーランス含む)が非常に多いのが現実です。
皆さんがリスケを申し入れるタイミングとして考えてみて下さい。例えば,自社の状況を「絶好調・不調気味・絶不調」の3つのタイミングから選ぶとすればどの時点で申し入れたら良いと思われますか?言うまでもなく絶好調のタイミングでは申し入れは必要ないと感じられると思います。
そこで,悩むのが不調気味のタイミングか絶不調のタイミングか?もう少しわかりやすく見ていきましょう。
不調気味とはどのような状況でしょうか?
絶好調でないことはわかっていただけると思います。では絶不調まででもないことはご理解いただけますでしょうか。実はこの違いは経営にはとて大変重要な感覚です。なぜなら、絶不調と不調気味の違いはまさに経営の分かれ道=分岐点と言えるからです。もう一度言いますね、こことても大切です。
いうなれば多くの会社はここのポイントに立ち続けているような感じです。このタイミングが継続し続けていて、その環境で実際の判断を重ねている、そういう感覚です。
絶好調とは
唐突ですが、サーカスの綱渡りをイメージしてください。一本の長い棒を両手でもちながらロープのうえを歩き続ける、とても不安定な感じをイメージしていただけますでしょうか。右や左に棒でバランスをとりながら進んでいくイメージです。これで例えると、絶好調とはとてもとても太いロープのうえを渡っていると思ってもらっていいです。多少バランスを崩してもロープを踏み外すことはほとんどありません。危険が少なく,何より安定して前に進むことができる状態です。この安定を手にした事業は専門的な用語になりますが「キャッシュカウ=金の成る木」と呼ばれることもあります。つまり失敗がなく自然に利益を生める体質に成長した事業・企業と理解して頂ければいいと思います。
絶不調とは
では絶不調のロープはどのようなイメージでしょうか?ロープは確かにありますが、絶不調は蜘蛛の糸のようなロープを渡っている状態です。非常に細くていつ切れても不思議ではないロープの上を歩いているイメージです。いくらバランスを上手にとっていても糸が切れてしまっては落ちてしまいます。そういう非常に危うい状況にあるのが絶不調です。
不調気味とは
不調気味とは、いま見てきた絶好調にも絶不調にもなる可能性をもっている状態なのです。だからこそ重要なポイントなのです。不調気味の状態では、経営を絶好調の状態に変えられる可能性を持っているのです。
まとめ
つまり絶不調、資金繰りが困難になってから、言い換えれば、とても不安定で危機感ある状況に陥ってからの対策では(厳しい言い方ですが)手遅れと言わざるを得ません。だからこそ、どちらの道にも歩める不調気味の感覚を大切に慎重に感じて欲しいわけです。そして、リスケも不調気味の状態のタイミングに行うのが最適と言えます。
絶対解が存在しないなかで、経営の舵取りは本当に大変でご苦労の多いことだと思います。だからこそお一人で悩み切らないで欲しいと願います。勘違いしないで下さいね。悩むと悩み切るとはこれもまた意味が違います。悩むのはたくさん悩んで良い知恵で困難を乗り越えて下さい。悩み切ってしまうとその後がありません。そうなってからではまさに絶不調のタイミングなのです。これは肌感覚を鍛えるしかないですが、この不調気味と絶不調の違いを覚えてもらいたいと思います。
弊所では絶好調の時期の相談から何か不安を感じる不調気味の相談を常にお待ちしています。もちろん、なにかの事情で絶不調に陥られた場合の相談も可能です。それでも相談はなるべく早めにされることをお勧めします。不安な感覚の放置だけは絶対に避けていただくよう切に願っております。 事業再生・経営改善も大久保事務所にご相談ください。