皆さん,ごきげんよう。
今回はこれから本格的な返済期にはいる新型コロナ融資(通称:ゼロゼロ融資)の返済に関してついて述べたいと思います。なお,この論述はすべて私個人の見解であり公的なものではないことを予めお断りさせて頂きます。
そもそも新型コロナ融資(ゼロゼロ融資)とは?
早速ですが,このブログをご一読いただいている事業家のほとんどの皆さんがこの融資のお世話になっているのではないかと思います。
政策金融公庫から直接的に受けられている又は保証協会・取引金融機関連携の貸し付けのいずれかのご利用かと思われます。
ただし,民間金融機関(取引金融機関)の取り組み は2020年5月から始まりました。ちなみにゼロゼロ融資の「ゼロゼロ」とは, 無利子・無担保のことを指しています。
そして今回の貸し付けにはもう一つ忘れてならないのが特別的な据え置き期間が定められたことです。これがおよそ1年から3年,回数で表すと12回から36回程度,元本の返済を猶予(待ってもらえる)して利息のみ支払うという, 本当に変則的な融資形態でした。
その元本返済の猶予(待ってもらえる)する期間がそろそろ終わろうとしています。既に終えられて元本・利息ともに返済が開始している企業様もあるのでは ないでしょうか。
新型コロナ融資(ゼロゼロ融資)の目的
この融資の背景にはどのような意図があったのかについてお話ししたいと思います。(意図というと何か悪いイメージを想定されるかもしれませんが, 要するにこの融資を国が取り組むにあたって政治家や官僚の大義名分みたいなものと理解して下さい。決して悪いものではありません。)
なぜこの意図を知る必要があるのかというと,この意図を知ることによって今後の皆さんの対応が大きく変わる可能性が含まれているからです。
結論を申し上げますと、
事業全ての面倒をみることは国としても行政としてもできないため,落ち込まない程度に現状を維持するという意味で「下支え」して各事業家の努力による成果を期待する
という意図であったと言えます。下記詳しく説明いたします。
この融資は,一にも二にも新型コロナ感染症(以下,「本感染症」という)に 伴う事業被害を最小限にくい止め,かつ本業を本感染症に対応できる事業態様にするというのが一義であったと思えます。
その上で,現在の事業を下支えして売上や利益の減少を最小限にする意図があったのではないかと考えられます。現に常時のマスク着用やアルコール消毒,密の回避など,これまでの生活態様を大きく変える事を強いられるといっても過言ではなかったと思います。
当然にお店や会社においても,この大きな態様に沿って活動を継続していく必要がありました。なかには態様の変化が大きすぎ,また変化のスピードも求められたこともあって残念な結果をまねくことになった事業家も少なくないと思います。
この現事業の「下支え」というのが本融資の取り組みの本意ではなかったかと考えられます。
これは,本感染症発生当初に国が取り組んだ「事業復活支援金」や当初の「事業再構築補助金」にも関係している意図と推認することができます。
あくまでも下支えであって主たる活動は事業家におけるものとするという解釈です。
事業家はこの意図を理解したうえで,これからの返済や返済条件の変更(リスケジュール)を検討しないと,行政頼みという考え方では立ち直り切れない企業が増加してしまう結果を招くと言えます。
感染症より前に業績不審に陥ってはいなかったか?
他方,一つの考え方として,本感染症のみを理由に業績不振を主張できる企業はどれほど挙げられるでしょうか。
本感染症以前より,もっと言えばバブルの崩 壊やリーマンショック,東日本大震災など日本は経済力や世界的な競争力を喪失して20年や30年と言われていた最中の今回の出来事でした。誤解を恐れずに踏み込んだ考えを論ずれば,本感染症が発症していなくても業績不振にあった企業は存在したわけです。
もちろん,煽りを受けたことを否定するつもりはありません。しかし,本感染症のみを原因に業績不振を言い続けるにはどこか無理があるように,正直,感じ得ます。
新型コロナ融資(ゼロゼロ融資)の返済を猶予してもらうために
金融機関がここで返済できるかあるいは条件変更による返済に応じるかは,事業家自身がこれらの意図をどのように受け止め,どのような経営指針・事業方針打ち出して活動してきたのか,事業の下支えの施策の活用方針の問い掛けに集約されると思います。
これは今後の追加融資にも影響が及ぶものと考えられます。今般の意図の延長線上にある取り組みのための新たな資金需要になっているのか,いないのか,審査の大きな検討材料ではないでしょうか。
ただ,これは対金融機関にのみに有効的な捉え方ではなく,これからの事業家 自身の企業の在り方や経営方針・事業方針にも大きな影響を与えるものだと考えます。
残念にも一連の関係施策を場当たり的な活用としてしまっていた場合は,今後,立ち直りに相当の経営資源を要することになることが窺い知れます。多くの事業家はこの意図を理解して施策の活用に至れなかったのではないかと案じてやみません。もちろん企業の持続性や継続性という一面からも下支えの捉え方,今後の活動方針など大切な自社の成長要素,利益要素になってくるものと言えます。
とりわけ今回の融資には,金融機関も公的・民間ふくめ寛大な対処・対応をしてきており,今後はその対処・対策の結果を事業家に求めるステージに入ってきます。
その第一歩が元本返済の開始です。下支えをどのように活かし,本業の落ち込みを抑えながら,新たな取り組みや挑戦をしてきたのか,事業家としての本 分を問われています。この問いに応えられなければ,新たな支援は受けにくく,今後の支援もハードルが高くなると考えなくてはいけません。
そこでご提案です。今からでも遅くありません。
この意図を理解した事業展開や本業強化の方針に経営の舵をきることです。その舵がきれなければ,本当にゾ ンビ企業との忌まわしき名のもとに市場淘汰を待つのみになってしまいます。 そこには事業家としての本分はありません。ぜひ皆さんの方針について点検してみて下さい。
最後までご一読,ありがとうございました。